夏になるとサマータイムを導入しようという意見をたまにインターネットで見かけるものの、あまり盛り上がらずに終わってしまうと感じている人は少なくないのではないでしょうか。
この記事ではサマータイムのメリットから、日本が導入に積極的ではない理由まで詳しく解説します。
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目次
- ■サマータイムとは?
- ■サマータイムの歴史
- ■サマータイムを導入するメリット
- 電力を節約できる
- 交通事故や犯罪の発生率が低下する
- 経済が活性化する
- 余暇が充実する
- ■サマータイムを導入するデメリット
- 健康への影響
- コストがかかる
- 大気汚染の増加
- ■日本でサマータイムが定着しなかった理由
- ■サマータイムを試してみたい人にも使いやすい腕時計「和心」
- まとめ
■サマータイムとは?
サマータイムとは日照時間の長い3月~11月の間に時計の針を1時間進める制度のことで、太陽の出ている時間帯を有効活用するのを目的に定められた制度です。
ヨーロッパでは、summer time(夏時間)、アメリカ、カナダ、オーストラリアではdaylight saving time(太陽光を有効活用する時間制度)と呼ばれ、緯度が高く日照時間の長い70ヵ国ほどで導入されています。
サマータイムは国ごとに開始日と終了日が異なるため、一部を表にまとめてみました。
国名 |
サマータイム開始日 |
サマータイム終了日 |
アメリカ・カナダ・メキシコ |
3月の第2日曜日午前2時 |
11月第1日曜日午前2時 |
ヨーロッパ各国 |
3月最終日曜日午前1時 |
10月最終日曜日午前1時 |
オーストラリア |
10月最終日曜日午前2時 |
翌年3月最終日曜日午前3時 |
ニュージーランド |
9月最終日曜日午前2時 |
翌年4月第1日曜日午前3時 |
ブラジル |
毎年10月第3日曜日午前0時 |
翌年2月第3日曜日午前0時 |
現在サマータイムを実施している国々では、1年のうちで実施期間が7ヵ月~8ヵ月となるため、通常の時間よりもサマータイムを実施している期間の方が長くなるという特徴があります。
■サマータイムの歴史
サマータイムはイギリスの建築業者であるウィリアム・ウィレットにより「日照時間の少ないイギリスで、夏場により多くの太陽光を浴びれば病気にかかることが減り、国民の健康が推進される」という考え方が提唱されたことで始まりました。
ウィリアム・ウィレットは1908年にイギリスの議会へと、夏場の太陽を十分に浴びて国民の健康を増進するとともに照明費用を節約するのを目的として「System of daylight saving」という法案を提出しますが、ヨーロッパの交通の混乱やアメリカとの経済取引への支障が起こることを予想した他の議員の反対を受けて成立しなかったのです。
しかし第一次世界大戦中のドイツと同盟国のオーストリアでは、労働時間を延長して軍需物資を増産するのを目的に1916年4月30日から10月1日までサマータイムを実施したため、イギリスでも1916年5月21日から10月1日までサマータイムが採用されました。
ドイツでは第一次世界大戦の終結とともにサマータイムが廃止されましたが、フランス、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ポルトガルではイギリスと同じ1916年から、アイルランド、ウクライナ、ロシア連邦では1917年からサマータイムを導入したのです。
そしてアメリカでは1918年から戦争になるたびに省エネを目的としたサマータイムが導入されましたが、一時的なもので定着はしませんでした。
これはサマータイムに戦争のイメージがついてしまったことと、各州が標準時を自由に設定できるローカルタイムの使用が増加したことが理由と言われています。
その後1920年代に農村人口より都市生活者の人口が増えたのをきっかけに、サマータイム導入が議論されるようになり、本土では4つの標準時とサマータイムの採用を骨子とした統一時間行動議案が1967年に可決され、正式に制度化されたのです。
参考:織田一朗「時計の科学」
■サマータイムを導入するメリット
サマータイムを導入するメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。
4つご紹介します。
電力を節約できる
サマータイムにおいては人が太陽の出ている時間帯に主に活動することとなるため、照明にかかる費用を節約することが可能です。
1時間分の照明にかかる消費電力でも、各家庭や企業で等しく節約をすることで節電効果が高まります。
交通事故や犯罪の発生率が低下する
サマータイムでは太陽の出ていない時間帯での人の活動が減少するため、交通事故や犯罪の発生率を低下させることができます。
経済が活性化する
サマータイムでは人の活動時間が増加するため、買い物をしたり、仕事の後に遊びに行ったりと消費行動を促進させられます。
その結果経済が活性化することにつながるのです。
余暇が充実する
サマータイムにおいては下校時間や退社時間が1時間早まるため、プライベートを充実させることができます。
■サマータイムを導入するデメリット
一方サマータイムにはデメリットもあるため、3つご紹介します。
健康への影響
サマータイムの導入により、睡眠時間の減少や時差ボケのような状態を引き起こすリスクが高まります。
また病気においては心臓発作のリスクが10%増加し、戸外での活動が増えることから皮膚がんのリスクも高まるとされているのです。
■コストがかかる
サマータイムを導入する場合、カレンダーやシステムの時計機能をサマータイムに合わせて更新しなければならないため、それにコストが発生します。
大気汚染の増加
サマータイムを導入すると、早朝に起きる渋滞と排気ガスが大気汚染を引き起こしてしまうため、問題視されています。
■ 日本でサマータイムが定着しなかった理由
世界地図で確認すると、サマータイムを導入したことのない国や、過去に導入したけれど現在はサマータイムを行っていない国は赤道に近い国々やアフリカ諸国に集中しています。
これは赤道に近い国々では季節に応じた日照時間の変化が少ないためだと理解できますが、どうして季節に応じて日照時間の変化がある日本でサマータイムが定着しなかったのでしょうか。
これは戦後の1948年~1952年の4年間に「夏時刻法」に基づいて行われた「サンマ―タイム」に対するネガティブなイメージが残っているためだと言われています。
当時の日本はアメリカの占領下にあり、GHQがアメリカの制度をそのまま日本に導入したところ、労働者の勤務時間が長くなりそれに合わせて早起きを強制される家族が寝不足に陥るといったことで不評を招きました。
1951年に行われた世論調査ではサンマータイムに対する反対意見が53%を占めたため、1952年の占領終了とともに夏時刻法は廃止されたのです。
その後1995年より省エネを目的として再度サマータイム導入が検討され、2020年の東京オリンピックでの導入も議論されましたが、情報技術機器や地震計のプログラム変更が間に合わないとして結果的に導入は見送られました。
参考:織田一朗「時計の科学」
■サマータイムを試してみたい人にも使いやすい腕時計「和心」
和心は、1964年創業の腕時計メーカー、株式会社和工がお届けする日本製にこだわった腕時計ブランドです。
和心の腕時計ラインナップには、電波時計を含めていません。
これは昔ながらの日本における機械式時計や懐中時計の風情を感じてほしいというのはもちろんですが、時刻を自分で合わせるのも腕時計の楽しみ方の1つだと考えているからです。
取扱説明書を見ながら丁寧に時刻合わせをするのは、自分の腕時計に対する愛着を深めることにつながるでしょう。
そして和心では遊び心でサマータイムで時刻合わせをしてみるのも、腕時計の楽しい使い方だと思っています。
ぜひ一度和心の腕時計を用いて、サマータイムを楽しんでみませんか。
和心 WACOCORO (wacocoro-watch.com)
■まとめ
サマータイムとは日照時間の長い3月~11月の間に時計の針を1時間進める制度のことで、太陽の出ている時間帯を有効活用するのを目的に定められましたが、日本においては議論はされているものの、導入は見送られていることがわかりました。
海外においては比較的導入が進んでいるため、時差を考える際には参考にしてみてください。