技能五輪全国大会とは?時計修理競技について詳しく解説

技能五輪全国大会とは?時計修理競技について詳しく解説

若手の技術者がその高い技術を競い合う、技能五輪全国大会というイベントがあるのをご存知でしょうか。

この記事では技能五輪全国大会とはどのような大会なのかから、時計修理についての競技内容まで詳しく解説します。

技能五輪全国大会とは?

技能五輪全国大会とは、日本国内の23才以下の技能者が参加して技能レベルを競い合うことで同世代の技能者に努力目標を与えることや、技能に身近に触れてもらい広く一般国民に対して技能の重要性や必要性をアピールすることを目的に開催されるイベントです。

厚生労働省、中央職業能力開発協会、東京都が主催して行われ、技能五輪国際大会で実施が見込まれる競技職種に参加する選手の選考会も兼ねて行われます。

競技職種は42職種あり、その中には「時計修理」も含まれています。

時計修理における技能五輪全国大会への出場資格は次の通りです。

  • 23 歳以下であること
  • 一般社団法人日本時計協会が実施する業界実技選考会で優秀な成績を修め、推薦を受けた人
  • 過去の技能五輪国際大会で同一職種の競技に参加したことがないこと

技能五輪全国大会は若者向けの大会らしく競技の模様はLIVE配信され、SNSではInstagram、YouTube、Twitterを通じてPRが行われています。

また時計修理については1985年技能五輪国際大会、1987年技能五輪全国大会を最後に技能五輪では競技が行われなくなっていましたが、2014年に技能五輪あいち大会から公式に復活することとなったのです。

技能五輪全国大会に出場して一定の免除基準を上回ると、1級時計技能修理士の試験における実技試験が免除されます。

参考:一般社団法人日本時計協会「2021年第59回技能五輪全国大会「時計修理」職種 業界実技選考会のご案内」

参考:一般社団法人日本時計協会「技能五輪全国大会「時計修理」職種26年ぶりの復活」

参考:第59回技能五輪全国大会開催計画

参考:第 59 回技能五輪全国大会における 1 級技能検定の実技試験免除対象職種

技能五輪全国大会の時計修理におけるレベルとは?

技能五輪全国大会に参加する選手のレベルとはどのようなものなのでしょうか。

技能五輪全国大会は技能五輪国際大会に出場する選手の選考会も兼ねて行われますが、過去に日本は時計修理における技能五輪国際大会での入賞者を多数輩出しているため、表にまとめてみました。


年次

大会名

入賞者名

メダル

1970年

第19回日本・東京大会

井桁喜久雄(セイコーサービスセンター) 

金メダル

1971年

第20回スペイン・マドリッド大会

笠井孝悦(シチズン時計) 

金メダル

1973年

第21回ドイツ・ミュンヘン大会

牧野敏夫(リコー時計) 

銀メダル

1975年

第22回スペイン・マドリッド大会

吉田彰彦(セイコーインスツル)

銀メダル

1977年

第23回オランダ・ユトレヒト大会

竹岡一男(セイコーエプソン) 

金メダル

1979年

第25回アイルランド・コーク大会

塩原研治(セイコーエプソン) 

金メダル

1981年

第26回アメリカ・アトランタ大会

中澤義房(セイコーエプソン) 

金メダル

1983年

第27回オーストリア・リンツ大会

清澤英隆(セイコーエプソン) 

金メダル

1985年

第28回日本・大阪大会

小松郁清(セイコーエプソン) 

金メダル


技能五輪全国大会に時計修理競技が復活した2014年以降、技能五輪国際大会に時計修理競技で出場した選手はいませんが、今後の出場に期待しましょう。

参考:一般社団法人日本時計協会「技能五輪全国大会「時計修理」職種26年ぶりの復活」

参考:中央職業能力開発協会「技能五輪国際大会 過去の大会記録」

技能五輪全国大会を活用した人材育成について

技能五輪全国大会に出場して一定の免除基準を上回ると、1級時計技能修理士の試験における実技試験が免除されるという規定からもわかる通り、若手の技能者が時計修理の分野で技能五輪全国大会を目指して学ぶことは高い技能を身に着けることでもあります。

このことから厚生労働省と中央職業能力開発協会では「技のとびら」というポータルサイトで、時計修理の分野において技能五輪全国大会を目指すにはどのような技能が必要であるか、競技課題の作製にはどのような技能について習熟する必要があるかを解説しています。

具体的には時計修理のマニュアルにおいて、求められる技能、競技課題の概要、競技課題が求める技能の内容、採点基準、技能習得のための訓練方法、課題の実施方法、期待される取組の成果が60ページ以上にわたって解説されているのです。

また実際に技能五輪全国大会に出場した選手の体験談も掲載され、若手の技能者にとって励みになる内容となっています。

時計修理の分野において技能五輪全国大会を目指すなら、ぜひ一度は目を通しておきましょう。

参考:技のとびら「技能競技大会を活用した人材育成の取組マニュアル」

参考:技のとびら「技能競技大会を活用した人材育成の取組マニュアル 時計修理職種編」

技能五輪全国大会の様子を知りたい場合は?

技能五輪全国大会に出場した時計修理の選手の様子や、会場の雰囲気などを知りたい場合は、YouTubeチャンネル「Worldskills japan2021」の「技能五輪全国大会実況解説配信⑤」という動画で解説つきで見ることができます。

解説者が課題と照らし合わせながら実際の部品を用いて説明してくれるため、時計修理に携わった経験がない人でも今選手たちが何の作業をしているのかが具体的にわかるようになっているのです。

また選手が課題を解く上での注意点や審査基準も含めた解説があるため、これから技能五輪全国大会に出場したい人はじっくりと見ておきたい内容だと言えるでしょう。

参考:YouTubeチャンネル Worldskills japan2021「技能五輪全国大会実況解説配信⑤」

時計修理における技能を大切にするメーカー「和心」

1964年創業の腕時計メーカー、株式会社和工がお届けする日本製にこだわった腕時計ブランドが「和心」です。

株式会社和工には、時計の修理に関する名称独占資格である1級時計技能修理士が1名、2級時計技能修理士が1名在籍しているため、自信を持って保証内容と取扱説明書をホームページに掲載しています。

またお客様の大切な腕時計の故障を予防するため、保証書には故障につながる動作とはどのようなものかを記載しているのです。

このような背景から、株式会社和工では技能五輪全国大会に時計修理競技が復活したことをとてもうれしく思い、1級時計技能修理士がや2級時計技能修理士を目指す若者が増えてくれることを願っています。

正しい知識に基づいた技術で作られ、確かなメンテナンスとともにお届けする和心の腕時計をぜひ試してみてください。

和心 WACOCORO (wacocoro-watch.com)

まとめ

技能五輪全国大会とは、日本国内の23才以下の技能者が参加して42の職種において技能レベルを競い合うイベントで、1985年以降停止されていた時計修理競技は2014年から復活したことがわかりました。

技能五輪全国大会に出場して一定の免除基準を上回れば、1級時計技能修理士の試験における実技試験が免除されるため、時計の修理技能を身に着けたい人はぜひ出場を目指してみてください。