腕時計の仕組みの1つにクォーツ時計があるのは知っているけれど、詳しい仕組みや取扱方法まではよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事ではクォーツ時計とは何かから長持ちさせるための取り扱い方法まで詳しく解説します。
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目次
- ■クォーツ時計とは?
- ■クォーツ時計の精度について
- 温度変化による誤差を補正する方法
- 時刻情報を電波で受信する方法
- ■クォーツ式腕時計の使用上の注意点
- リューズを空回りさせる
- 磁気を帯びた物の側に置かない
- 静電気に注意する
- 強い衝撃を与えない
- オーバーホールをする
- ■クォーツ式腕時計の電池交換について
- ■デリケートなクォーツ式腕時計に和の遊び心を加えたブランド「和心」
- ■まとめ
■クォーツ時計とは?
クォーツ時計は水晶式時計とも呼ばれ、電圧を加えると正確に振動する水晶の特性を活用した時計を指します。
クォーツ時計は、アメリカでは1927年にベル研究所のWarren MarrisonとJ.W.Hortonによって発明され、日本では1937年に古賀逸策によって最初に作られたのが始まりです。
従来の振り子や棒天符(ぼうてんぷ)と異なり水晶振動子の正確な振動数を時間の基準としているたため、精度が高いのが特徴的だと言えるでしょう。
また日本ではSEIKOが大型ロッカー並みのサイズだったクォーツ時計の小型化・実用化に積極的に取り組み、1969年12月25日に世界初のクォーツ式腕時計「セイコークオーツアストロン35SQ」の開発に成功するのです。
この時SEIKOでは社内でプロジェクトチームを立ち上げ、最も難易度が高いけれど精度の高いクォーツ時計を将来の本命技術と定めて開発に取り組みました。
セイコークオーツアストロン35SQは当時の価格で45万円と自動車と同等の価格で誰にでも手に入れられるような商品ではありませんでしたが、その後の技術の進化により今ではクォーツ式の腕時計は広く世の中に普及しています。
参考:一般社団法人日本時計協会「水晶式時計(クオーツ時計)」
■クォーツ時計の精度について
クォーツ時計は機械式時計と比較すると、遅れることが少ないという印象を持つ人は多いのではないでしょうか。
これは1970年代以降、クォーツ時計の高精度化に各時計メーカーがしのぎを削った結果に他なりませんが、高精度化が2つの方法で進んでいったのでそれぞれの内容をご紹介します。
温度変化による誤差を補正する方法
クォーツ式腕時計に使用されている音叉型の水晶振動子は温度の変化によって振動数が変化する特性があるため、それが時間の誤差につながっていました。
高精度のクォーツ式腕時計を開発するため、SEIKOでは1つのクォーツ式腕時計に対して2本の水晶振動子を取り着け、1本を温度検出用とし、もう1本の温度変化による誤差を時計内部で補正するツインクォーツを採用したのです。
その結果「グランドツインクオーツ」で年差±10、「セイコースーペリアツインクオーツ」で年差±5という高い精度を実現します。
その後もこの技術では高周波数の水晶振動子を用いる方式、IC内の温度センサーで温度補正を行う方式、温度補正プログラムを搭載する方式などさまざまに進化して精度を高め続けています。
時刻情報を電波で受信する方法
クォーツ式腕時計では、外部から時刻情報を電波で受信し、時刻の補正を行う方式も発明されました。
この方式がいわゆる電波時計ですが、クォーツ式の腕時計発売よりも早く1963年から技術自体は存在しており、当時はNHKラジオの時報音を受信して時刻を修正していたのです。
その後1990年代には福島県大鷹鳥谷山と福岡県・佐賀県の県境に位置する羽金山から発信される日本の標準電波を受信して時刻を修正するようになっていきますが、電波が受信できなければ通常のクォーツ式腕時計と同じ精度になってしまうというデメリットがありました。
このデメリットを解消したのが衛星電波時計で、GPSなどの電波を受信して時刻や日付を修正する仕組みを持つため、地球上の全ての場所でその場所における時刻をクォーツ式腕時計に反映させることができるようになったのです。
■クォーツ式腕時計の使用上の注意点
一般的にクォーツ式腕時計は機械式の腕時計より寿命が短いと言われています。
お気に入りのクォーツ式腕時計を長く愛用するために注意した方が良い点を5つご紹介します。
リューズを空回りさせる
リューズ(腕時計の横にあるつまみ)はクォーツ式腕時計では回す機会が少ないため、時々空回りさせるのが望ましいでしょう。
汚れが付着したまま放置すると、リューズが固まって操作しにくくなるため注意が必要です。
磁気を帯びた物の側に置かない
住宅内の電気製品には磁気を帯びたものが多いため、クォーツ式腕時計が突然止まったり、時刻の遅れがあったりした時は磁気の影響がないかひとまず確認することが重要です。
時計を保管する際は、周辺に強い磁気を帯びた物がないか必ず確認するようにしましょう。
静電気に注意する
冬の乾燥した時期に起こりやすい静電気の影響を受けると、クォーツ式腕時計が誤った時刻を表示したり、電子部品が壊れてしまったりします。
正常に作動しない場合は無理に自分でどうにかしようとせず、メーカーに点検してもらうことをおすすめします。
強い衝撃を与えない
クォーツ式腕時計を床に落としたり、壁にぶつけたりなどの強い衝撃を与えると、針のずれや破損につながります。
誤って落とした場合、すぐにメーカーに相談しましょう。
オーバーホールをする
クォーツ式腕時計を長持ちさせるためには、2~3年に1度は有償のオーバーホールを行うことが重要です。
内部の細かな汚れ、油切れなどに早めに気づくためにも、定期点検を心がけましょう。
参考:一般社団法人日本時計協会「クオーツウォッチ(腕時計)の使用上の注意点を教えて」
■クォーツ式腕時計の電池交換について
クォーツ式腕時計の電池がなくなってしまった際は電池交換が必要ですが、作業には専門的な技術や知識を必要とするためまずはメーカーや購入した時計店などに問い合わせを行うことが重要です。
また止まったままのクォーツ式腕時計を長期間に渡り放置すると故障につながるため、相談はなるべく早めに行うようにしましょう。
参考:一般社団法人日本時計協会「時計の電池に関する注意点を教えて」
■デリケートなクォーツ式腕時計に和の遊び心を加えたブランド「和心」
「和心」は1964年創業の腕時計メーカー、株式会社和工がお届けする和にこだわった腕時計ブランドです。
ラインナップにはアナログクォーツ式腕時計も含まれており、ムーブメントはもちろん、バンドも畳縁など国産の素材にこだわって展開しています。
アナログクォーツ式腕時計を長く使い続けてもらえるよう、和心では保証期間内に正常な使用状態であるにもかかわらず故障した場合は無料で修理・調整を行っています。
またONLINE SHOPでアナログクォーツ式腕時計を購入すると、特典として電池交換を1回無料でしてもらうことができるのです。
ファッション性の高いクォーツ式腕時計はあまり丈夫ではないというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、和心のクォーツ式腕時計は日本の素材を用いているだけではなく、購入後の保証もついているため安心して長く使用することができるでしょう。
和心 WACOCORO (wacocoro-watch.com)
■まとめ
クォーツ式腕時計とは水晶式時計とも呼ばれ、電圧を加えると正確に振動する水晶の特性を活用した腕時計を指しますが、機械式時計と比較すると精度が高く定期的なオーバーホールを行うことで長持ちさせられるなどメリットの大きい時計であることがわかりました。
ぜひ取扱いに注意しながら、クォーツ式腕時計を長く活用してみてください。