懐中時計とは?種類からつけ方まで詳しく解説

懐中時計とは?種類からつけ方まで詳しく解説

アンティークな時計の中では懐中時計が一番なじみ深いけれど、扱いやメンテナンスの方法がよくわからないのでいまいち手が出ないとお悩みの人はいませんか?

この記事では懐中時計種類から取扱いの注意点まで詳しく解説します。

懐中時計とは

懐中時計とは衣服につけたり、ポケットに入れたりして持ち歩くことのできる携帯時計のことを指します。

駆動方式には機械式とクォーツ式の両方がありますが、懐中時計の種類として良く使われるのがケースの形状です。

ケースの形状の名称とメリット・デメリットを表にまとめてみました。

ケースの名前

特徴

メリット

デメリット

オープンフェイス

・蓋がついていない

・蓋がないのですぐに時間を確認できる

・破損しやすい

・汚れがつきやすい

ハンターケース

・蓋がついている

・破損しにくい

・デザイン性が高い

・蓋を開けないと時間を確認できない

ハーフハンターケース

・蓋はついているがガラスなので中身が見える

・蓋を開けなくても時間を確認できる

・ガラスに指紋がつきやすい

スケルトンケース

・文字盤がガラスで構成されていて時計のムーブメント部分が見える

・高級感がある

・デザイン性が高い

・ガラスに指紋がつきやすい

種類に応じてメリットとデメリットがはっきりしているため、自分のニーズに合った懐中時計は比較的選びやすいと言えるでしょう。

参考:一般社団法人日本時計協会「時計用語」

懐中時計の歴史

便利でおしゃれな懐中時計ですが、どのようにして生まれたのでしょうか。

今でこそ懐中時計や腕時計など、さまざまな種類の携帯できる時計が存在しますが、最初の時計の動力は錘(おもり)だったため、携帯するどころか移動すら難しかったのです。

時計を携帯するためにはこの錘に代わる動力が必要だったのですが、サイズが小さく移動時の傾きにも左右されにくいゼンマイが開発され、携帯できる時計の開発に一歩近づきます。

その後ゼンマイの技術を基に携帯できる最初の時計が開発された時期についてはよくわかっていませんが、16世紀ごろのことではないかと言われているのです。

そして1675年、オランダ人のホイヘンスが丸い輪の中にゼンマイを仕込んだ調速機(てんぷ)を発明し、さらに揺れや振動に強くなりました。

てんぷが生まれたことで18世紀中頃に懐中時計が作られ、さらに小型化が進んで腕時計の開発へとつながっていったのです。

参考:セイコーミュージアム銀座「携帯できる時計」

懐中時計の精度を高めた技術トゥールビヨン・レギュレーター

時計を購入する際、精度にこだわる人は少なくないのではないでしょうか。

懐中時計の精度を飛躍的に高めたのが、時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチと呼ばれるアブラアン・ルイ・ブレゲによって1795年に開発され、1801年にパリで特許を取得した技術トゥールビヨン・レギュレーターです。

ブレゲは自分の懐中時計がしばしば誤った時刻を示していることからトゥールビヨン・レギュレーターの開発を思い立ちました。

時計の精度には重力が影響しますが、その影響を最も大きく受けるのがてんぷと脱進機です。

懐中時計は持ち運ぶ際必ずある一方向に重力がかかるため、ブレゲはてんぷと脱進機を回転させることで重力による負荷を均一にしようとしました。

具体的にはてんぷと脱進機をケージに納め、ケージごと4分間に1回転させることで誤差をなくしたのです。

この仕組みはトゥールビヨン・レギュレーターと名付けられ、現代では1分に1回転するものが主流となっています。

参考:セイコーミュージアム銀座「トゥールビヨン」

懐中時計のつけ方

懐中時計というと、その日のファッションに応じてどのようなつけ方をすればおしゃれに見えるのか迷う人も多いのではないでしょうか。

男性と女性それぞれにおすすめの付け方をご紹介します。

男性の場合

男性におすすめの懐中時計のつけ方は次の3つです。


 ベストのポケットに忍ばせる

スーツの下にベストを着た場合の、クラシカルな着こなしに合う懐中時計のつけ方です。

チェーンをボタンホールに通してから、反対側のポケットに懐中時計を忍ばせます。

チェーンはボタンホールに通した後、ボタンの周囲に巻きつけてもおしゃれです。

この時右利きの人は左ポケット、左利きの人は左ポケットに懐中時計を入れると取り出しやすくなるでしょう。

パンツのポケットに入れる

チノパンやデニムなどカジュアルなパンツを身に着けている場合は、ポケットに懐中時計を入れてもおしゃれな着こなしとなります。

ポケットに直接入れるため、ある程度重量のある懐中時計でも大丈夫です。

チェーンはポケットや裾、ベルトループなどに留めると良いでしょう。

オーバーオールの胸ポケットに入れる

オーバーオールを着用した際に、胸ポケットに懐中時計を入れてもおしゃれに見えます。

この時太めのチェーンを使用するとデザインが際立って見えます。

懐中時計の形がポケットに浮き出てしまうと見栄えがあまり良くないため、オーバーオールは1サイズ大きめのものを選んでも良いでしょう。

女性の場合

女性におすすめの懐中時計のつけ方は次の3つです。

着物の帯に入れる

着物の帯中に懐中時計を忍ばせるつけ方です。

帯前に懐中時計を文字盤を外側にしてつけている女性を見かける場合もありますが、懐中時計は重さがあり、帯を痛めてしまう原因になるためおすすめできません。

懐中時計は着物の打ち合わせを乱さず利き手を邪魔しない左側につけるのが望ましいでしょう。

懐中時計についている根付紐(ねつけひも)は帯前に出るため、帯や着物の色とコーディネートするとよりきれいに見えます。

ペンダントのように首にかける

洋服を着ている時に懐中時計を長めのチェーンや紐で首にかけるとカジュアルな装いにも合わせやすくなります。

重すぎる懐中時計を使うと首を痛めてしまうので、小さめの懐中時計で行うのがおすすめです。

バッグのチャームにする

懐中時計のデザインと似たテイストのバッグを持っているなら、チャームとして付けるのもおしゃれでしょう。

懐中時計の重さも持ち運ぶ際に加わるため、バッグは軽めのものを選ぶのをおすすめします。

和のおしゃれなデザインにこだわった時計ブランド「和心」

「和心」は1964年創業の腕時計メーカー、株式会社和工がお届けする和にこだわった時計ブランドです。

3500種類も組み方があると言われる江戸組紐を根付紐に用い、桜の模様を文字盤と裏面にあしらった懐中時計は着物に良く合い、おしゃれに一家言持つ女性にも大人気です。

また時計に使用する材料は全て国産のものを使用し、埼玉県にある自社工場で組み立てているのです。

和にこだわった懐中時計を探しているなら、ぜひ一度問い合わせをしてみてください。

和心 WACOCORO (wacocoro-watch.com)

まとめ

懐中時計とは衣服につけたり、ポケットに入れたりして持ち歩くことのできる携帯時計のことですが、さまざまな技術開発を背景に、長い歴史の中で少しずつ発展してきたことがわかりました。

洋服にも着物にも合わせやすく、おしゃれを格上げする懐中時計をぜひ一度は使ってみてください。