時間の正体とは何か?哲学で語られる時間の定義について詳しく解説

時間の正体とは何か?哲学で語られる時間の定義について詳しく解説

時間とは何かということを人間は神話の時代から自然科学、宗教などさまざまな分野において考えてきました。

この記事では哲学で語られる時間の定義について詳しく解説します。

哲学で語られた時間とは?

哲学という学問の中で考察された時間についてのエピソードを5つご紹介します。

ニュートン力学で語られた「時間」

イギリスの自然哲学者・数学者・物理学者・天文学者・神学者だったアイザック・ニュートンが1687年に著書「自然哲学の数学的諸原理」で提唱したのが「絶対時間」です。

ニュートンは著書の中で、絶対的な真の数理的な時間とは、外部と一切かかわりなくおのずとその本質に基づいて一律に流れていくものと説明しています。

絶対時間は宇宙のどの場所においても一定の速度で進んでいくため、人間には知覚することのできない共通の概念であるとニュートンは捉えたのです。

日本の物理学者である湯川秀樹は、著書である「湯川秀樹著作集」の中で絶対時間について触れ、ニュートンは自然の空間や時間が本当は均一ではないことを理解していたからこそ、敢えて「絶対時間」という概念を仮想したのではないかと説明しています。

ニュートンはニュートン力学における3つの運動法則を合理的に説明するために絶対時間を考えましたが、人類共通の認識として「時間」というものは確かに存在していることから、時間を概念として捉えるのが哲学としても深みのある考え方だと言えるでしょう。

アウグスティヌスが考察した「時間

ローマ帝国のキリスト教の神学者、哲学者、説教者だったアウグスティヌスは時間とは神によって作られたものと397年~400年に著書である「告白」で述べています。

そして世界に「過去」「現在」「未来」の3つの時間が存在するのではなく、現在のみが存在し、それは「過去についての現在」「現在についての現在」「未来についての現在」の3つの時間があると説明しているのです。

過去についての現在とは「記憶」で、現在についての現在とは「直観」で、未来についての現在とは「期待」であるため、時間とはこのような心の働きであるとアウグスティヌスは考えたのです。

マルタ共和国のことわざに「最後に死ぬのが希望」ということわざがありますが、時間が心の働きであれば、人間はずっと未来に期待し続ける時間の流れの中で生きていくのかもしれません。

道元の悟った「時間」

鎌倉時代に曹洞宗を開いた禅僧の道元は、1231年~1253年までの間に生涯をかけて著した「正法眼蔵」の中で「有時(うじ)」について触れ、有というのは存在、時というのは時間だと示し、時間と存在は1つであると説いているのです。

少し難しいですが、過去を思い出すのも未来を想像するのも全て今の自分という存在であることから、今の自分に全ての時間があると考えるのです。

道元は有時について触れる中で、時間とは何かを説明したかったというよりは、今現在を生きることの大切さを伝えたかったのではないでしょうか。

人生は今を生きることの連続でできていること、だからこそ今を懸命に生きてほしいという願いが「有時」という言葉の中には示されています。

アルベルト・アインシュタインが発見した「時間」

ドイツの理論物理学者であるアルベルト・アインシュタインは1905年に発表した「特殊相対性理論」の中で、止まっている人から見ると、光速で動いている人の時計が示す時間は遅れると予測しました。

これは移動速度によって時間の遅れが生じるという理論であるため、ニュートン力学において提唱された、時間が全宇宙で同一に流れるという考え方は否定されたことになります。

身近な所では航空機に乗せた原子時計がごくわずかですが遅れるといった事象で、光速に近い速度でなくても起こることがわかっているのです。

またアインシュタインは特殊相対性理論を発展させ、1915年~1916年に「一般相対性理論」として重力も時間の進み方を変化させると発表しました。

この考え方を利用しているのが全地球測位システム(GPS)で、人口衛星が地上へ正確な時間を伝達することで、地球上の正確な位置を測定していますが、地球から離れた所を周回している分重力の影響を受けにくく、地上よりも時間の経過は早くなります。

このため、衛星側の内蔵時計は毎秒100億分の4.45秒遅く進むように調整されているのです。

アルベルト・アインシュタインはその世界観、宇宙観、宗教的感覚も含めて魅力的な人物であったことが数々のエピソードとして残されていますが、彼が感じていた時間の概念を知るのもまた哲学の目線から見ると楽しいことではないでしょうか。

スティーブン・ホーキングが計算した「時間」

イギリスの理論物理学者であるスティーブン・ホーキング博士というと、1965年にブラックホールの特異点定理を発表し、量子宇宙論を唱えたことで有名ですが宇宙の始まりについて「虚数時間」という概念を用いて説明しています。

虚数時間とは2乗するとー1になる数で示される時間のことで、ホーキング博士は宇宙はこの虚数時間から生まれたと主張したのです。

ホーキング博士が虚数時間から宇宙が生まれたと主張する以前は、宇宙は密度が無限に大きくなり計算不能となるポイントである「特異点」から生まれたとされていました。

具体的には今から138億年前、「特異点」からインフレーションと呼ばれる急激な膨張によって高温で高密度なビッグバンへと膨れ上がり、インフレーションのときにできた密度のゆらぎが少しずつ冷めて広がっていく間に物質をかたよらせ、銀河や星を形成していったと考えられていたのです。

しかし特異点が計算不能であれば、理論的に宇宙の始まりを説明することはできなくなってしまいます。

また宇宙は膨張していることから、時間を逆回しして考えてみるとエネルギー密度は無限大、体積はゼロという状態から宇宙を始めなければならないことになるのです。

このことからホーキング博士は虚数時間を2方向に移動が可能な宇宙がはじまる前の時間として捉え、1方向にしか進まない実数時間へとなめらかに移動していったと考えたのです。

虚数時間の中では実数時間のようにはじまりという特定された時間がないため、特異点が必要なくなると考えるとわかりやすいでしょう。

ホーキング博士は虚数時間を理論の説明のために使用していましたが、近年の研究では実際に存在することが明らかになっています。

2乗すると-1になる時間とはどのような時間なのか想像しにくいかもしれませんが、それをさまざまな方向から考察するのも、時間への哲学的な取り組みとして楽しいことだと言えるのではないでしょうか。

時間との楽しいつきあい方を提案するブランド「和心」

和心は、1964年創業の腕時計メーカー、株式会社和工がお届けする和にこだわった腕時計ブランドです。

和心では腕時計メーカーとしての専門的な観点から、このコラムやSNSでさまざまな時間や腕時計との楽しい付き合い方を発信しています。

哲学は敷居が高い学問だと捉えがちですが、私たちになじみ深い「時間」というテーマから考えると少し身近に感じられるのではないでしょうか。

心 WACOCORO (wacocoro-watch.com)

まとめ

哲学の中で語られた時間は、その定義づけや計算方法も含めてさまざまですが、時間について考える楽しさをさらに膨らませてくれる内容だとわかりました。

この記事も参考にして、ぜひ自分にとって時間とは何かを考えてみてください。