腕時計に磁気が与える影響とは?対処方法もご紹介

腕時計に磁気が与える影響とは?対処方法もご紹介

腕時計磁気はあまり良い影響を与えないのは理解しているけれど、具体的にどのようなことに気を付けて管理するのが望ましいのかはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では腕時計磁気が与える影響と対策方法について詳しく解説します。

磁気とは?

磁気とは磁石を引き合ったり反発させたりする力のことで、次のような性質を持ちます。

  • N極とS極があり、同じ極は反発して異なる極は引き合う
  • 接触しなくても力が働く(電気に似ている)
  • 地球も磁気を持っていて、地球の持つ磁気のことを地磁気と言う
  • 2つの磁極(S極とN極)に働く磁力の大きさF(単位はN=ニュートン)は、2つの磁極の強さm1とm2の積に比例し、距離の2乗に反比例する(クーロンの法則に基づいた計算方法)
  • 磁気は磁石の周囲だけではなく電流が流れると磁石になる電磁石の周囲、電流が流れる電線の周囲などでも発生する

腕時計の場合に限らずさまざまな精密機器の場合、内部で使用される部品が磁気の影響を受けやすく、本来の性能を示すことができなくなるのです。

腕時計から遠ざけた方が望ましい強い磁気を持つ製品とは?

私たちが生活している中で腕時計から遠ざけた方がよい、強い磁気を持つ製品にはどのようなものがあるのでしょうか。

身の回りで注意しておきたいものをご紹介します。

  • バッグや財布の留め具
  • テレビ、ヘッドホン、イヤホン、スマホ、タブレット端末、ノートPC、電子辞書、ポケットラジオのスピーカー
  • スマホのマイク
  • タブレットカバー
  • 健康磁気製品(ネックレスなど)
  • 肩こり用磁気シール
  • テレビのスピーカー部分
  • 電気カミソリ
  • IH調理器
  • ACアダプター
  • 電気毛布
  • ホットカーペット

また医療機器にも強い磁気を持つものがあるため、受診する際は注意が必要です。

腕時計磁気から受ける影響と対処方法について

腕時計磁気からどのような影響を受けるのかとその対処方法を、腕時計の種類別にご紹介します。

機械式時計

機械式時計においては、磁気を受けることによって内部の部品が磁化されるため、てんぷの動作が影響を受けて時刻にずれが生じてしまいます。

内部の部品が磁化した場合、例え原因となった磁気から機械式時計を遠ざけたとしても、磁気の影響が残り精度が低下してしまうのです。

対処方法としては、磁気の影響を受けた部品の磁化を解消する脱磁(磁気抜き)を行います。

脱磁はインターネット通販で購入できる磁気抜き用器具や消磁器を用いて自分で行うこともできますが、取扱説明書を確認せずに動作を間違えると反対に腕時計磁気を帯びさせてしまいます。

このことからもし慎重に脱磁を行いたい場合は、購入したお店へとまず相談するのが望ましいでしょう。

クォーツ時計(アナログ式)

アナログ式のクォーツ時計においては、内部部品である小型ステップモーターで磁石が使用されているため、外部から強い磁気を受けると正常なモーターの回転が一時的にできなくなり、時計の「止まり」「遅れ」「進み」の原因となります。

この場合磁気から遠ざけると元の精度に戻るため、改めて正確な時刻に直した後にアナログ式のクォーツ時計を使用すれば問題ありません。

クォーツ時計(デジタル式)

一般的なデジタル式のクォーツ時計においては、磁気の影響を受けることはないでしょう。

しかし、デジタル部分とアナログ部分から構成される複合時計(コンビネーションウオッチなど)では、アナログ部分のみアナログ式クオーツ時計と同じように磁気の影響を受けます。

この場合はアナログ式のクォーツ時計と同じように磁気から遠ざけ、改めて正確な時刻に直して使用しましょう。

参考:一般社団法人日本時計協会「時計の技術・機能・性能・名称に関するQ&A『時計は磁気の影響を受けますか?』

参考:CITIZEN 時計の知識「磁気についての注意」

腕時計の耐磁性能

今までお伝えしてきた通り磁気の影響を受けやすい腕時計ですが、磁気にある程度耐えられる性能=耐磁性能を持つ腕時計も存在します。

どの程度の磁気に耐えることができるかは、日本工業規格「JISB7024 耐磁携帯時計一種類及び性能」に規定されています。

耐磁時計について表にまとめてみました。

耐磁時計の種類

JISが保証する基準

内容

表示方式

非耐磁時計

1600A/m

1990年までの輸出検査で行われていた基準値で、耐磁時計以外でも基本的に満たされるレベルの値

第1種耐磁時計

4800A/m

磁気に5cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル

・耐磁時計

・MAGNETIC RESISTANT 4800

所定のマーク

第2種耐磁時計

16000A/m

磁気に1cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル

・強化耐磁時計

・MAGNETIC REGISTANT 16000

所定のマーク


第1種類耐磁時計、第2種耐磁時計の規格を満たす時計は耐磁時計として表示することが可能なため、表示方式も示しています。

それではこれらの耐磁時計であれば、前述の強い磁気を持つ製品に近づけても問題はないのでしょうか。

強い磁気を持つ製品が耐磁時計に与える影響を表にまとめてみました。

磁気を持つ製品の種類

時計との距離

非耐磁時計

第1種耐磁時計

第2種耐磁時計

イヤホンのスピーカー

0cm

×

×

×

イヤホンのスピーカー

1cm

イヤホンのスピーカー

5cm

・テレビ、ヘッドホン、イヤホン、スマホ、タブレット端末、ノートPC、電子辞書、ポケットラジオのスピーカー

・バッグや財布の留め具

0cm

×

×

×

・テレビ、ヘッドホン、イヤホン、スマホ、タブレット端末、ノートPC、電子辞書、ポケットラジオのスピーカー

・バッグや財布の留め具

1cm

×

×

テレビ、ヘッドホン、イヤホン、スマホ、タブレット端末、ノートPC、電子辞書、ポケットラジオのスピーカー

・バッグや財布の留め具

5cm

・タブレットカバー

・健康磁気製品

0cm

×

×

×

・タブレットカバー

・健康磁気製品

1cm

×

×

×

・タブレットカバー

・健康磁気製品

5cm

×

IH調理器

0cm

×

×

×

IH調理器

1cm

×

×

×

IH調理器

5cm

×

×

×

電気カミソリ

0cm

×

×

×

電気カミソリ

1cm

×

電気カミソリ

5cm

ACアダプター

0cm

ACアダプター

1cm

ACアダプター

5cm


耐磁時計であっても5cm以内の距離では強い磁気からの影響は受けやすいため、気に入った腕時計を長く使用するためにも、磁気からは5cm以上離して保管することを心がけましょう。

参考:一般社団法人日本時計協会「耐時性能」

腕時計の安全・安心を大切にするブランド「和心」

1964年創業の腕時計メーカー、株式会社和工がお届けする日本製にこだわった腕時計ブランドが「和心」です。

株式会社和工には、時計の修理に関する名称独占資格である1級時計技能修理士が1名、2級時計技能修理士が1名在籍しており、磁力についても正確な知識で対応を行うことができるため、保証内容と取扱説明書を自信を持ってホームページに掲載しています。

また取扱説明書には故障につながる動作として「磁気の発生しているものに時計を近づける」と明記し、お客様にも注意喚起をしているのです。

腕時計は長く使用するものだからこそ、メーカーとしてお客様に時計にとって安全・安心な状況とは何かをお伝えするのは大切なことだと考えています。

ぜひ一度その腕で、和心の想いを感じてみませんか。

和心 WACOCORO (wacocoro-watch.com)

まとめ

磁気とは磁石を引き合ったり反発させたりする力のことで、腕時計の場合は内部で使用される部品が磁気の影響を受けやすく、本来の性能を示すことができなくなることがわかりました。

脱磁の手間をかけないようにするためにも、磁気を帯びた製品からは5cm以上離して保管することを心がけてみてください。